買い物客だけでなく、ウェブサイトの活用のヒントになる「無意識に買わせる心理戦略」

「無意識に買わせる心理戦略(著者:サイモン・スキャメル=カッツ、翻訳:黒輪篤嗣 )」を読んでみました。

私が、普段意識している(気が付いている)時ではなく、”無意識(心の中にある意識ではない部分)”に焦点を当てて買い物客に買わせるようにするための心理的な戦略を解説しています。

”人の行動の95%は無意識”に操られていると言われています。

 1.なぜ買い物客に注目するべきなのか

売るためのマーケティングは、昔から存在しています。現在までに至るまでに進歩してきている。進歩してきてはいるが、買い物客の行動を観察しどのように購入されるのかといった「買い物客の研究」というのは、その進歩の中ではまだまだ浅く始まったばかり。(20年前ほど)

最近、研究が始まったばかりなので、今までの買い物客が行動し、購入に至るまでの中で、新しい発見もあると思われる。

買い物客の行動を理解するのは、まずGoogleといった企業とはビジネスとは根本的に違うということを念頭におく必要がある。商品を売るためには、引力がかかせない。ここでいう引力というのは、”互いに引合う力”。お互いとは、お店側と顧客側。

理解すると書かれているが、本書では買い物客の行動を観察したり・分析したりするのは難しいと書かれている。その理由は、買い物客はあまり自分の行動を意識しないことにある。どういう判断をしてその品物を買ったのかほとんど覚えていない。

私も買い物する時は、どういう判断でこの商品を買ったのか覚えていないし、理由を聞かれても「ついつい買ってしまった」ということがある。

本書では、これらは好みや価値観の問題となっていると書かれている。確かに、法則や予測することは極めて難しいことである。

好みや価値観に訴えかける広告の始まりは、19世紀末に始まっていた。

広告はもともと消費者を対象としているものである。消費者をの注意をひき、興味を沸かせて、欲望をかきたてることで、購入させる。これは、AIDMA(アイドマ)の法則でもある。AIDMAとは、

Attention(注意)
Interest(関心)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)

消費者が注意をひいて、購入するまでを上記の段階で表したもの。頭文字をとってAIDMA。

私が特にこの章で気になったのは、「実際に商品を買うのは買い物客であって消費者ではない」という部分。消費者というのは、最終的に商品を使用する者であるが、買うのは買い物をしているお客である。

現在の市場は、昔の市場よりも、複雑になり、消費者もだまされにくくなっているという。商売を成功させるには店内での売れ方を知り、広告の限界を知ることにある。広告にも限界はあり、広告によって興味をひかれた客がどのような行動するのかを観察する必要がある。

それは、買い物をしている時の心理状況を解き明かすことでもあると言える。

2.買い物客は、どういう目的で店に来るか

買い物客がどのような目的でお店に来るのか・選んでいるのかを解説しています。

お店を選ぶ際に、一番重要となっているのは場所。自宅や通勤路から近いほど利用されやすい。通勤路ではなくても、人がよく利用する・行動するための道にあれば、目につきやすく利用されやすいことになる。

場所で、お店を選ぶ場合は、人が買い物しにいく意味や生活の中に買い物という行動がどのように組み込めれているのかが関係してくる。買い物にかかるお金や早さも影響してくる。

店の利用はミッションによって異なるということも書かれている。ここでいうミッションというのはお店で果たすべきことを指す。お店の使い方は、ミッションによって異なる。

自分が買いたい商品があっても、様々な機種などがあり、その中から比較するミッションが発生する。この場合は、検索エンジンの検索結果内の情報を頼りに比較することもありえる。

比較というミッションが完了すると、次は実際にお店へ行って実物を確認するというミッションもある。いろんなお店で一番安いお店で買うというミッションもあるかもしれない。

ミッションが異なれば、お店として求められることも変わってくる。こうしたミッションに柔軟に対応できて、得意なミッションを持つことが、差別化に繋がる。

3.ウィンドウディスプレイに効果はあるか

ショーウィンドウや看板・広告は買い物客に効果があるのかについて解説しています。

結論からいうと、ショーウィンドウは、見える範囲が限定されてしまうため、めったに見ないと本書では書かれている。

ここで気になる点は、「買い物客には先入観がある」ということ。買い物客が「ショーウィンドウを見て買い物をしている」と言っていることと、実際に買い物客が買い物をしていることは、一緒ではなく別々となっている、取りちがう恐れがある。

お店の看板も買い物客を呼び込む力はない。

買い物客をショーウィンドウや看板・広告をめったに見ない理由は、買い物客はいつもと同じ商店街で買い物をするため、お店がどこにあるかは既に知っていることにあると書かれている。

わざわざショーウィンドウや看板・広告を見なくても、お店に入り買い物をする。これは、人の行動がすでに習慣化されている・慣れといった部分にある。習慣や慣れというのは、良くもあり悪くもあると改めて実感する。

4.買い物客は、店内でどのように目当ての商品を探すか

今すぐに買いたいものがある方もいます。このような場合、店内でどのように目的の商品を探すかについて解説しています。

スーパーマーケットのレイアウトは記憶を辿るための手がかりとなります。脳内に記憶しているレイアウトを辿りながら買い物をします。

レイアウトを思い出す時は、「認知地図」を使います。認知地図とは脳内に記憶されている配置や道順等です。認知地図を辿りながら、人は買い物を行う。これにより無意識に行動できる。

つまり、地図内に書かれている場所が変わると戸惑うことがある。人が行動しやすいように配置を変えないことは、無意識にできる行動かどうかにおいて重要である。これは、ウェブサイトにおいても、日常化された配置から、メニューボタンやサイドバーなどを変えると、戸惑いイライラする原因になる恐れがある。

お店のレイアウトを変えると、それを覚えるのに時間がかかる。これは脳の情報処理能力には限界があるためである。

買い物客の認知地図を分析することで、使いやすいレイアウトとなり、顧客のリピートなどに繋がる。

5.買い物客は店内で何を見ているか

買い物客が店内で何を見ているのか、視覚情報といったところを解説しています。

私がまず気になったのは、

自分に見えているものが世界のすべてだと、誰ものが錯覚している

哲学者:アルトゥル・ショーペンハウアー

この言葉である。

メーカーや小売店は、売り上げを上げるために視覚的な効果を利用したものが多い。パッケージや広告など。

ただ、目がどのような役割を果たして、視覚情報がどのように処理されているのかはほとんど理解していないと本書では書かれている。

自分の目の前にあるもの全てが、見えていると思っているが、それは勘違い。視界に入った情報全てが処理されて使われるわけではない。人の視覚システムは、情報を集めるより、切り捨てるようにできている。

記憶のメカニズムを理解することは、マーケティングによって大切である。だが、マーケティング業界では記憶のメカニズムといった研究には熱心ではない。多くの買い物客ではなく、消費者に比重を置いている。

6.買い物客はどのように商品を選ぶか

6章・7章・8章は、買い物客がどのように商品を選び、購入するのかについて解説しています。

特定の商品カテゴリでは、買い物客はほとんどいつもと同じ商品を買う。シンプルさが大事である。商品が見つかるような工夫をしなければいけない。SEOにおいてもウェブサイト内で情報の整理は必要である。検索者に見つけやすい工夫は必要。

7章(習慣化の影響)の最初で、

ふしぎなもので、本人は自分の習慣に気がつかない

推理作家:アガサ・クリスティ

この言葉がとても印象的である。

買い物で習慣化するのはブランドを選択すること。特価品を買うことが習慣となっている。昔からある信頼のあるブランドであれば、必然的にそのブランドを選んで買ってしまうことはある。

8章(感情や感覚の影響)で気になるのは、買い物客に対するマーケティング活動で無駄となっているのは、買い物客の前になる消費者に対するマーケティング活動と書かれている。マーケターは、広告の効果を過信していると言われている。

これは店内で買い物客がどのように行動しているかが理解されていないことにある。買い物客が購入客になるプロセスを理解することが大事である。これはSEOにおいても、検索者がいかに見込み客や購入客になるのかのプロセス(過程)を理解することが必要であるかを考えさせられる。

9.ふだん買わないものを買うとき、買い物客はどのように選ぶか

私がふだん行っている買い物では買わないものを買うときに、買い物客はどのように商品を選んだりするのかについて解説しています。

例えば、日常生活の中で使い、ちょっと値段が高く使用頻度が高い商品(スマートフォンなど)を購入する場合、購入した時に失敗しないように情報収集が欠かせない。だが、スーパーでふだんの買い物で購入する商品は、情報収集はあまりしないことがある。

これは検索エンジンの検索結果で、日常生活の中で使用頻度が高く、価格の高いもの(重要度の高いもの)などの情報収集する・情報を探す場合も、入念に情報を探す傾向にあると考えられる。

10.買い物客はどのように商品を記憶するのか

買い物客がどのように商品を記憶するのか(形成)、広告の効果などについて解説しています。

商品の購入を決めるまでのプロセスはあるものの、商品の選択はできるだけ労力をかけずに最低限の判断を行うと本書では書かれている。

広告では、

Attention(顧客の注意を引く)
Interest(顧客に商品を訴求し関心を引く)
Desire(顧客に商品への欲求があり、それが満足をもたらすことを納得させる)
Action(顧客に行動を起こさせる)

http://ja.wikipedia.org/wiki/AIDMA

最もよく使われる理論が”AIDA”である。このAIDAは現実のプロセスとは異なっており複雑である。購入の意思と関係があるのは「ブランドの印象」であることが本書では書かれている。

ブランドの体験は、「体験」、「感情」、「決断」のモデルである。体験し、感じることで、行動する。これは、ウェブサイトのコンテンツを制作する際にも必要であるといえる。

検索者に体験してもらい、感じることで、行動させる。最後に決断させる。

11.これからの買い物はどうなるか

これからの買い物がどのなっていくのか。テクノロジーの進歩による影響や戦略等について解説しています。

過去から見ていくと、買い物客を念頭に置いたアイデアが成功すると書かれている。商品の購買するお客を正しく理解することが大事である。 買い物客が売り場でどういう視点・感情といった部分などから商品を選んでいるのかを考えて、開発する必要がある。

感想

「無意識に買わせる心理戦略」という書籍を読んでみて、私はインターネット広告やSEOの分野を扱っており、本書はスーパーなどの買い物客などを対象として心理戦略が書かれていた。

書かれていたが、実際にお店にいって買い物をする客であっても、人は人です。インターネット広告やSEOの分野に置き換えてみると、参考となる部分もありました。